ここではデータ・ビジュアライゼーションを勉強するに当たって、オススメの本をご紹介したいと思います。
ここで紹介する本は、matplotlibやExcelなどの特定のツールの使い方ではなく、どのように見せると効果的か?重要なメッセージが伝えられるか?といったより一般的、普遍的な考え方を解説している本です。
ですので、pandasとmatplotlibを使って図を描く方法などは今回オススメする本の中には載っていませんのでご注意ください。
しかしながら、どのようにツールを使って図を描くか以前の、そもそもどういった図を作成すべきか、といった非常に重要かつ実践的な内容の本ばかりですので、業務で図を作成してお客さんや上司・同僚に説明する機会がある方は、一度は読んでみることをオススメします。
これらの本を読む前と読んだ後では、説明に使う図のクオリティが大きく向上していること間違いありません。
オススメ本
『データ可視化のデザイン』
こちらはここで紹介する唯一の日本語の本になります。
データを可視化することの必要性から始まっており、非常に丁寧な説明がなされています。
少数の数値に凝縮された統計量や機械学習では精度やAUC、AR値といったスコアや相関係数だけで判断したりする人もいますが、きちんとデータを可視化してみる必要があるというところの説明は非常に重要だと思います。
どのようにデザインすることで相手に伝わるか、どのようにすればプロっぽく見えるかということがわかりやすく説明されています。
ダッシュボードの例やモバイル端末でダッシュボードを作成する際の注意点などの解説もあります。
『The Big Book of Dashboards: Visualizing Your Data Using Real-World Business Scenarios』
上記「データ視覚化のデザイン」は日本語の書籍で非常にわかりやすい本ですが、本書はそれをより詳しく専門的に解説している本です。
特に、ダッシュボードを作る人・作りたい人にオススメです。
データを可視化する重要性などの理論的な解説から始まり、あとは様々な例を通して、可視化、ダッシュボードの作成方法が説明されています。
1つ1つのグラフだけではなく、ダッシュボード全体としてどのように表現すべきか?ということにも重点が置かれています。
英語が苦にならならず、ボリュームが多くてもしっかり学びたいという方はこちらが良いと思います。
もしくは「データ可視化のデザイン」とあわせて読むと読みやすいかもしれません。
『Storytelling with Data: A Data Visualization for Business Professionals』
このサイトでもときどき紹介していますが、目から鱗の本当に素晴らしい本です。
この本はダッシュボードの作成や複雑な工夫を凝らした目につくグラフの作成方法を説明するものではありません。
どちらかというと、もっともよく使う棒グラフや線グラフを作る際に、ただグラフを作成するのではなく、それぞれデータ分析者が持っているストーリーを表現する方法が解説されています。
そして、どのようにして無駄な部分を除き、強調したい部分を目立たせるか、なども非常に詳しく書かれています。
例も十分にあるので、読んでいれば「こうやればいいのか!」や「今のグラフは確かにわかりにくい」とか気づくことが多数あると思います。
英語がそれほど苦にならなければ、是非読んでもらいたい個人的に一番オススメの本です。
読む前と読んだ後に作成する図は、まったく違うものになっていること間違いなしです。
『Storytelling with Data: Let's Practice!』
上記の「Storytelling with Data: A Data Visualization for Business Professionals」を読んで、さらに実践的な内容を知りたいという方はこちらを購入してもいいと思います(実際に私はそうでした)。
「Storytelling with Data: A Data Visualization for Business Professionals」が説明と実践が7:3ぐらいだったのに対し、こちらは実例を使った実践が多くなっております。
実践する上で非常に参考になる図が満載です。
『Show Me the Numers』
人間の感覚・フィーリングといったものは非常に正しく、めったに間違えることはありません。
ただ、めったに間違えなくても、間違えます。そして、その間違いがクリティカルだということが往々にあります。
なので、数字をしっかりと理解できる形で表現し、エビデンスにもとづいて意思決定をしましょう、つまり「数字を見せろ」という本です。
また、定量的に分析した結果を雑なグラフなどで表現することは、会社などの組織にとって実は非常に大きな隠れたコストです。
『Storytelling with Data』と同様に、図を理解するための労力を極小化し、直観的に伝わるグラフの作成方法を解説しています。
A4サイズでしかもかなり分厚く、非常にボリュームがあります。
しかしながら、表現が非常にうまく、話しが面白いのですらすら読めると思います(英語ですがわかりやすいと思います)。
『Storytelling with Data』もオススメなのですが、もし興味があればこの本も是非あわせて読んで欲しいところです。
『Beautiful Visualization(ビューティフルビジュアライゼーション)』
こちらは、一応あげておくという感じです。
読むのであれば、上記のいくつかの本を読んで基礎的な話を理解したうえで、読むことをオススメします。
よく使う棒グラフや線グラフ、散布図などの説明は少なく、地図やアニメーション、ソーシャルグラフなどといったより発展的なグラフの作成方法について説明されています。
独創的なインパクトのあるグラフを作成したいという方にはこちらもヒントが隠されているかもしれません。
まだ読んでいない本
『データビジュアライゼーションの教科書』
読んでいませんが、Amazonの評価はそこそこ高いようです。
読んでいないのでコメントはしませんが、中身をさらっと見た感じでは非常にわかりやすいように思えます。
日本語ですのでさらに読みやすそうですね。
まとめ
今回はデータビジュアライゼーションの基礎を学べる本を紹介しました。
普段から図を作成し、人に説明することが多い人は、一冊は読んでみると良いと思います。
たくさん気づくところがあり、読んだ前と読んだあとでは、図のクオリティが明らかに向上しているのは間違いありません。
しかも、世の中にたくさん存在し、新しいものがどんどん出てくるツールを習得することが目的ではなく、普遍的な表現方法などを学ぶ本ですので、一生使えるテクニック・考え方と言えるでしょう。
是非、こちらでご紹介した本でデータビジュアライゼーションを学んで、仕事や学会のプレゼンテーションなどに活用していただければと思います。